_ココで紹介したいろいろなIDEAは、環境などにより新たな欠陥を生むリスクもあります。 良く検討された上で、自らの責任で採用してください。

Q1.0住宅(4)感想2008年03月01日 10:31:15

 
Q1住宅を見せていただいて、その設計思想に賛成する部分がたくさんありました。

基礎断熱構造の場合は、床下の蓄熱効果をより積極的に利用するためにガラリを設けて空気を循環させる構造。
この地中蓄熱は、先に床下エアコンの実験のところに書きましたが、車を運転する感覚ではなく、船を運転する感覚です。
オショーさんに触発され、思い切って床下エアコンを連続運転して初めて体で分ったことですが、連続運転にしたら設定温度がドンドン下げっていきました。
http://the.asablo.jp/blog/2008/02/16/2634324
パートタイム運転では、エネルギーの大部分は基礎コンクリートの温度を上げるのに使われてしまったようです。
地中蓄熱をもっと積極的に利用するなら、安い深夜電力でコンクリートに蓄熱させる方法も考えられます。この場合は温水ヒーポンが良いでしょう、床下エアコンですと室温が上がって寝苦しくなるような気がします。わたしは、寝室は2K下げたい派ですから。


省エネのために、冬は太陽熱を取り込む設計で、夏は外側で太陽を遮る設計。
高高24では、これがエコに繋がります。昨日(2/29)のように天気の良い日は、ほとんど暖房せずとも20℃くらいになります。これはとってもウレシイのですが、これから春になるとどうなるのか恐怖でもあります。
カーテンを引いてもそれ自体が暖まってしまうので、やはり外で遮熱できる工夫が必要だと思います。そして、それができれば、
遮熱断熱Low-Eではなく断熱Low-Eを採用した方が良いでしょう。天気の良い日の日射取得は2倍位違うようですから。
これは、熊谷など日照の良い地域を念頭に書いています。太陽の余り期待できない新潟や秋田などでは、断熱雨戸の利用など別の設計思想になると思います。
寒い日や風の強い日は窓ガラスから熱が奪われます。窓ガラスの外に断熱雨戸でなくても普通の雨戸やシャッターを閉めるだけでも、窓ガラスとそこに接する空気との熱伝達率を小さくする効果があります。


換気についても書きたいのですが、次の機会に。

 ・

地中熱と地中蓄熱2008年03月01日 12:50:34

 
昔読んだ地下室の本に地中の温度について記載がありました。
>東方洋雄著、多目的地下室、(財)経済調査会H5.4.24発行、p42
>通産相の新住宅プロジェクトでは、三洋電機が試作したコンクリート製の地下室で、土中および地下室の温度を測定している。
※ということで、1982年2月から83年2月にかけてのデーターが表になっていました。
※エクセルに貼って、区切り位置をスペースで調整後、グラフ化してご覧ください。
82îN 83îN
îNåé 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2
äOãCâ∑ìx 3.4 8.8 13.4 21 22.8 24.2 27 21.7 17.3 13.5 7.3 5.1 4.1
-0.5m 6.3 11 14.7 20.6 23.2 23.9 25.7 23.7 19.7 15.5 10.4 7.9 7.6
-1.5m 8.2 11 13.6 17.3 21.3 22.6 23.8 23.9 21.2 18.2 14.6 12.5 11.6
-2.5m 10.3 11.6 13.5 15.7 19 20.6 21.5 22.5 21.1 18.5 15.6 13.5 12.5
-3.5m 12.5 12.6 13.5 14.4 16.7 18.3 19.3 20.5 20.3 19.1 17 15.3 14.2
-4.5m 14.5 14 14.1 14.4 15.6 16.7 17.6 18.6 19.1 18.9 17.8 16.4 15.4

76pには、「地温の年変化(東京・大阪年全平均)」のグラフもありました。ほぼ、サインカーブで次の様な値でした。
0cmでは、2−30℃(1月ー7月)
30cmでは、5−26℃(1月ー7月)
120cmでは、9−23℃(2月ー8月)
300cmでは、12−19℃(4月ー10月)

HPで検索してみるといくつか見つかりました。

エコハウス研究会のHP
http://www.chinetsu.jp/chinetsu03.php
地下5mの温度(紫のグラフ)だけに注目してみると、年中15℃から18℃ぐらいで安定している。これを利用して住宅の省エネ化を図る、という主張です。
※しかし、いくつかの疑問がありました。
(1)地下5mの温度のピークは11月であり、1番利用したい1−2月には下がってしまっている。
(2)住宅の基礎深さを考えたた時、利用できるのはせいぜい地下1m程度と思われる。(地下室を除く)
(3)地中温度は地域のよって大きなばらつきがあります。同研究会のHPでも金沢は11−15℃と低くなっていますが、これらについては言及していない。なぜ。
http://www.chinetsu.jp/zenkoku-chicyu.php


地中熱利用促進協会
http://www.geohpaj.org/information/ground.htm
地中深さ5m以上のところは温度一定なので、これをヒートパイプで取り出して利用しようとしているようです。
http://www.geohpaj.org/information/faq.htm#11
※技術的に利用はできるが、どうも大規模になり工事費も高そうだ。戸建て住宅向けではないように思えた。


地中温度測定の実験
http://www.hakko.co.jp/expe/ex0801.html
日射量と地温の観測事例
http://web.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~yamaharu/tenki11.htm
※この二つの事例から分ったことは、
(1)わずか30cmの深さでも、日射からの地中の温度変化は緩やかになるようです。
(2)浅いところの測定では観測機器が誤差原因になる。観測機器を設置することが地中温度に影響を与えてしまうようです。

なかなか興味深いが、地中熱と「地中蓄熱」を切り分けて論議するのが難しいように思われました。多くの方が、これを混同している。
下のHPによれば、地中熱はたったの87(mW/m2)しかないそうだ。ミリワットですよ。
とすれば、みんなが地熱と言っているものは地下のマグマから供給されるものではなく。実は太陽によって暖まった地表の熱が伝わったモノのことだ。もちろん、地熱発電などの特別に深い井戸は除くが。http://wwwsoc.nii.ac.jp/grsj/02forum/muraoka/mura14.htm


もっと詳しく知りたい方は、たくさんの論文もあります。
http://www.geohpaj.org/information/thesis.htm
 

換気のロス(1)2008年03月05日 23:55:45

 
住宅の換気は第一種換気と第三種換気が用いられることが多い。

また、第一種は第三種の2倍の電力を消費するとも言われる。
今回は、このまゆつばについて述べる。
 
最初に換気方式の種類があるので、誤解が無いように整理しておく。
第一種換気にもいくつか種類がある。

(1)吸気ダクト排気ダクト式。各部屋に吸気と排気口があるもの。
今までは第一種換気というとこれだと考えていました。
(2)吸気ダクト式。吸気は各部屋にあるが、排気は2F天井などに設けた機械本体で行なうもの。最近、省エネの観点からこの方式を見直しました。
(3)ダクトレス。小さな換気扇を吸気と排気に付けたもの。
これは建築基準法は満たすが、計画換気ができないので問題外。

同様に第三種換気にも種類があるが、ダクトレスは問題外なので、排気ダクト式で吸気はパッコンが普通の方式になる。
吸気についても屋外貫通式と、外壁通気層経由式があるが、ここではその差は問題にしない。

結論を書こう。
トステム株式会社住宅環境技術部が2005年7月に発行した「スーパーウォール工法住宅、性能データブック」という冊子がある。
ここでは、1F 83.64m2, 2F66.25m2の家において換気方式を変えた場合の1ヶ月の消費電力を試算している。
(1)けいざい君(ダクト式第三種換気)830円
50W*24h*30day*@23 
(2)かいてき君(吸気ダクト排気ダクト式第一種換気)2730円
165W*24h*30day*@23
(3)すっきり君(ダクトレス第三種換気)280円
16.5W*24h*30day*@23

ネーミングがうまいな〜〜。
それはさておき、
なぜ、かいてき君はけいざい君の3倍以上の消費電力になってしまうのか。

その答えは、ダクトの長さにある。
一般的な間取りだと水周りが北側に集中し、第三種は北側の排気口まで短いダクトで済む。吸気口のパッコンは南、東、西に設ければ良い。
しかし、第一種はその排気ダクトを同じとしても、部屋の反対側(吸気口の対角線)まで給気口を伸ばさねばならない。
また第一種換気は普通、熱交換型が用いられるが、これはダクトルートがさらに複雑で長くなる。機械を2Fに置いたら、各部屋の給気は2Fから1Fに降ろさねばならない。
この様なことから消費電力が3倍以上になってしまう。

(2)の排気ダクトを省略する第一種換気ならば、排気側の損失分が減るので消費電力は2〜2.5倍程度で済むと思わます。
 

換気のロス(2)2008年03月06日 06:51:46

 
「それならオマエはどんな換気方式にしたのか」

わが家では省エネ重視に徹しました。
そのため、メンテナンスを少し犠牲にしました。

わたしが選んだのは、JBECKのDCエンジェルです。
http://www.jbeck.co.jp/products/kanki/dc_angel/index.html

DCモーターを使った抜群の省エネ性能と、
連続可変できる風量調節が決め手になリました。
この製品はX工務店では初採用でしたが、
施主のわがままで無理にお願いしました。

わが家は気積625m3なのでやむを得ず2台設置しましたが、
4人家族なので最小で運転しています。
そのためもあって換気の消費電力はとっても少なく、
電気代は2台合わせても、一年間で1000円程度です。
一月ではありません一年です。
(これと比べると合併浄化槽のブローが実に大きい)
 
次世代4地域において熱交換できる第一種換気を導入しても、
電気代が2万も3万もかかるならモトが取れないでしょう。
寒冷地ならともかく。

第一種換気もフィルター掃除が一ヶ所で済むなどのメリットもありますので、
採用する場合にはDCモーターを使った省エネ機器を採用した方が良いと考えます。
 

換気のロス(3)2008年03月08日 16:22:37

 
換気によるロス(熱損失)を分りやすく計算しているblogがありました。

http://djebel.livedoor.biz/archives/50841610.html
この方は、長野県にお住まいです。
たぶん次世代2地域なのではないかと思います。

http://www010.upp.so-net.ne.jp/onhome/note/heat_loss_s.html
この方は茨城県にお住まいです。
家造りにとてもコダワリがあり、参考になる記述が多くあります。

換気回数については、二つの考えがあるようです。
(1)1時間に気積の(1/2)
(2)1時間に一人当たり30m3

(1)は建築基準法の改定でそのような換気設備を設置しろというもの。法律上では能力さえあればどんなものでも可。
(2)は室内のCO2濃度が1000ppm以下になるように計算した値。

iBookの考えは(2)に近い。
CO2濃度1000ppm以下にするには、ひとつには代謝量(基礎代謝*代謝率)と外気のCO2濃度が問題になる。
大人と赤ちゃん、運動しているか寝ているかで人間からのCO2排出量が違うのは当然だ。

そのへんを適当に考えて、外気のCO2濃度350ppmで計算すると、1時間に一人当たり20−30m3あれば良いことになる。
南雄三さんに著書によると、新宿ではCO2濃度が高く400ppmあるらしいので、もう少し多くの換気が必要になる。でも、そんなこと言ったら夏と冬でも違うし。。。。。なんて考え出したら迷路に入ってしまう。

話を戻して、iBookは一人15m3/hあれば充分だと思う。
換気装置それ以外にも、玄関や勝手口の出入りで換気されるし、窓を開けても換気されるし、それよりなにより台所の換気扇を点けると恐ろしい量で排気されるから。

拙宅の場合は先に紹介した省エネの換気装置を使っているが、換気量は最小で行なっている。本当は一台停止したいくらいなのだが、1Fと2Fのトイレは、それぞれ別の装置で換気しているからそうもいかない。
両方のトイレを同じ機械で排気するように設計すれば良かったのだが、そこまで考えが及ばなかった。iBookの設計ミスだった。
ただ、天井の蓋を開けてコンセントを抜くだけなので、いつか実験してやろうと思っている。
 

日本ブログ村の にほんブログ村 住まいブログ エコ住宅へ にほんブログ村 環境ブログ エネルギー・資源へ 部門に参加しています。

ジオターゲティング